2010年の24時間ランでアメリカ新記録を出した36歳のスコット・ジュレクが、1日に270キロも走り切ったことが、偉業として讃えられました。
この功績に注目が集まった理由は、彼が厳格な完全菜食主義者(vegan)であることにもありました。
肉も動物性の食品も一切食事に取り入れずに、毎週225キロ以上を走り、1日に5000~8000ものカロリーを消費することがなぜ可能なのか?と、人々は不思議に思ったのです。
※彼のHPはこちらである。
菜食主義のアスリートと、一般のアスリートにパフォーマンスの差はない。
アスリートを目指す菜食主義者たちは、ベジタリアンの食事にはたんぱく質や鉄などの必要不可欠な栄養素やカロリーが不足がちになることを気にしていました。
しかし、研究により、菜食主義者のアスリートと、一般のアスリートとのパフォーマンスを比較すると、両者には差がないことという結果が出たのです。
心配するべきは、食べる種類ではなく、食べる量。
スコット・ジュレクは「ニューヨーク・タイムズ」の記者に、
心配するべきは、食べ物の種類ではなく、食べる量です。ゆっくりと食事をする時間をとり、カロリー摂取が十分になったかどうかを確かめればよいのです。
と、語っています。
一般的な西欧型の食事を摂っている人が、動物性のたんぱく質をカットしてしまうと、激しい運動メニューに耐えるだけのたんぱく質を摂取することは難しくなります。
しかし、野菜のたんぱく質を十分に摂取するならば、必要なたんぱく質を得られるのです。また、菜食主義者が十分にカロリーを摂取するには、食べる量を増やせばいいのです。
菜食主義者が注意すべき、問題点。
また、過去の調査によれば、菜食主義者や完全菜食主義者のアスリートは、他にも微量栄養素が不足する可能性があると指摘されています。
とくに亜鉛、ビタミンB12、オメガ3脂肪酸、ドコサヘキサエン酸は、身体の活動には重要ですが、吸収が難しく植物源からは摂取しにくいため、サプリメントによる摂取が推奨されています。
結論としては、厳格な完全菜食主義者の食事は、テニスやバスケットボール、陸上ら、サッカーなどのスピードを伴うスポーツの栄養的なニーズに応えることはできるけれども、アメフトのように体重をしっかりと維持しなければならないスポーツには向いてないと言えます。
しかし、必要な栄養素をしっかりと含むバランスのとれた食事であれば、菜食主義のアスリートと菜食主義でないアスリートの、運動による生物学的な相違はありません。
高たんぱく質の植物
以下に、高たんぱく質の植物を紹介します。
・ほうれん草(3カップ) 15g
・アスパラガス(3カップ) 12g
・レンズ豆(1カップ) 18g
・オーツ麦 (1/2カップ) 13g
など、植物性の食べ物からもアスリートに必要なたんぱく質をしっかり摂取することは可能です。
▼良いトレーニング、悪いトレーニング
こちらの事例が紹介されている書籍です。
スポーツ科学の「ほんとうに正しいのか?」という事例について解説してくれます。