【10代女性向け】女性アスリートの生理がこない(無月経)原因と、その対策。
多くの女性アスリートにとっての悩みが、生理が来ないこと(無月経)です。
女性の7~8割が、月経に関連した何らかの症状を抱えているとされており、特に激しいトレーニングを日常的に行っている女性アスリートには大きな悩みの種ですね。
女性アスリートの無月経の症状と原因
陸上・長距離や新体操、体操など、厳しい体重制限を行うことがある競技の女子のトップアスリートの間では、3か月以上、生理が止まる無月経になる選手が目立ち、その結果、疲労骨折をするケースも起きていることが国立スポーツ科学センターなどの調査で分かっています。
専門家によると、
人間の体は、体重が著しく減るなどすると、「飢餓状態だ」と認識して体そのものを守ることを優先し生殖機能を後回しにするため、月経が止まってしまう。
といいます。
また、女性アスリートの無月経の8割以上が視床下部性無月経といわれており、これは消費エネルギーに見合ったエネルギー摂取ができていないことで起こります。
骨粗鬆症のリスク
エネルギーが不足すると月経が止まり、骨が壊れるのを抑制するエストロゲンという女性ホルモンの分泌が減り、骨粗しょう症を引き起こす原因となります。
スポーツで結果を出したいのであれば、どうしても激しいトレーニングも必要になります。しかし、10代というのは、骨も生殖器も成長する大事な時期。
アスリートにとっては、悩ましい問題ですが、しっかりとバランスを取らなければなりません。
女性アスリートの運動性無月経
国内のトップレベルの女性アスリート683名を対象に実施したアンケート調査結果では、無月経を含む月経周期異常のあるアスリートは約40%を占めています。
競技別に見ると以下の通りです。
( 能瀬ら : 日本臨床スポーツ医学会誌 2014 )
図のように、陸上の持久系のアスリートや、厳しい体重管理が必要なフィギアスケートなどでは、運動性無月経になる確率は高くなります。
以下に、予防法と治療法を紹介します。
過度の運動における無月経の治療と予防法
無月経を長期間にわたって放置すると、将来、不妊などのリスクもあると専門家は指摘しており、女性の一生に関わる問題ともなりかねません。
ただ、早期に産婦人科で治療を受けるなど適切に対応すれば個人差はあるものの、改善することはできます。
専門家は、早く気付き、対応することが何より大事だとしています。
女性アスリートの運動性無月経、骨粗鬆症の治療は、まず食事量・運動量を見直すこと。
無月経に対する医師による治療のほとんどは、ホルモン注射によるものですが、女性アスリートの無月経の8割以上が視床下部性無月経といわれており、ホルモン注射は役に立たないのです。
それより、消費エネルギーに見合ったエネルギー摂取をすることが大切なのです。
女性アスリート自身で対応できることは、まず、食事量と運動量を見直すことです。
食事などでエネルギーを十分に摂取し、運動量を調整して、利用可能エネルギー量が不足しないように食事量・運動量を調整することが必要となります。
食事面で改善できることは?
食事面で改善できるのは、まずバランスの良い食事をとることです。
糖質(炭水化物)、脂質、たんぱく質の三大栄養素は、切らすことのないよう日頃から十分に栄養を摂りましょう。
エネルギーが充足していれば、正常に月経は起こり、骨密度の高い状態でトレーニングに臨めます。
骨をつくる栄養素をしっかりと摂る。
特に、10代は一生のうちでも骨密度が急激に高まり、生涯の骨の強さが決まる大事な時期です。
予防としては、無理な減量をせず、しっかり骨の材料となる栄養を摂ることです。
骨を強くするための栄養素は、よく知られているように「カルシウム」です。
カルシウムを多く含む食材
牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、豆腐・納豆などの大豆製品、小魚類、ひじきなど
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けます。魚やキノコ類に多い栄養素です。
また、このビタミンDは食事からでなく、身体を日光に当てるだけでも合成されます。日中しっかりと太陽の光を浴びるように心がけましょう。
アスリート自身も指導者も無理のないように気をつけること。
繰り返しになりますが、無月経が3ヶ月以上、長く続く場合は、無理をせずに、トレーニング量を減らし、エネルギー摂取を整えることです。
結果を求めすぎるために、無理をし続け身体を壊してしまうことは絶対に避けなければいけません。
食事もトレーニングの一環。
指導者も女性アスリート自身も、目先の競技結果を優先してしまいがちですが、将来のためにも見直せる部分は早めに改善していきましょう。